UV印刷について

UVのメリットとデメリット

紫外線のチカラを活用した印刷方式

紫外線を照射することで硬化するUVインキを使った印刷方式、それがUV印刷です。
通常のオフセット印刷は、インキが乾燥するまでに半日から1日程度の時間を要しますが、 UV印刷は一瞬でインキが乾くため、乾燥待ち時間が不要。 そして、通常オフセット印刷では困難なフィルムや化学合成紙蒸着紙などの素材へ印刷することも可能です。

紫外線のチカラを活用した印刷方式

【メリット】

  • インキが瞬間的に乾燥・硬化(約0.2秒)するため、通常インキでは浸透せず乾燥しにくい化学合成紙や蒸着紙、フィルム等にも印刷することが可能
  • 乾燥待ち時間が不要なので、納期対応面で有利
  • 乾燥時に利用する印刷用パウダー(工業用澱粉の微細な粒子)が必要なく、オンデマンド機で後から刷り込みをする場合の対応がスムーズ
  • インキ皮膜が硬いため、傷が付きにくい
  • 有機揮発物系の溶剤を含有しないため、環境に優しい

【デメリット】

  • 通常のオフセット印刷と比較し、色調の再現性が若干劣る
  • 瞬間乾燥硬化するため、インキ皮膜に平滑性がなく、仕上がりの光沢性にやや欠ける
  • インキ皮膜が硬いため、背割れが発生しやすい
  • 通常型UVランプは照射時にオゾンが発生し、特有の匂いが生じるので排気ダクト等の設備が必要。またランプ自体が高温(800度程度)になり、環境面での負荷が高い(LED-UVランプの場合はオゾンが発生しない波長のUVを使用しているため、ダクトが必要なく、発熱量も抑制できる)
  • UVランプや印刷機本体、付帯設備、UVインキが高価なため印刷コストが上昇


他の印刷方式との違い

UVインクは、水に溶けないことから多彩なメディアへの適正と耐久性、高い速乾性による短納期への対応などが評価され出荷量は近年増加傾向です。
水性インク、溶剤インク、UVインクの特長。

水性インク溶剤インクUVインク
何に溶けているか有機溶剤有機溶剤
色材染料/顔料(水に溶けない)顔料(水に溶けない)顔料(水に溶けない)
乾燥方式蒸発(数時間必要)蒸発(約1日必要)硬化
対応メディアインク受容層のあるメディアインク受容層のあるメディア特になし
メリット発色性がよい屋外耐候性に優れる多彩なメディア適正、速乾性
デメリット屋外用途には向かない材料によるが比較的乾燥時間が必要プリンタが高価・質感がマット
特色なしホワイト/メタリックシルバーホワイト/透明


UVインクの組成と特長

UVインクとはUV光(紫外線)を照射させることで固まるインクを称します。
UVインクの深い知識をえるため、まずはインクの組成から探っていきましょう。 UVインクは主に4つの成分から構成されています。

  1. 顔料:溶けきっていない塗料粒子。印刷面の表面につき、色をつける着色剤。
  2. モノマー:重合(3参照)することで大きな塊となり被膜を形成する材料。
  3. 光重合開始剤:UV光を吸収してモノマーの重合反応をスタートさせます。
  4. その他UV材料:インクの状態を保つための各種調整剤。延伸性、硬度などインク特性を決める部分となります。

1.顔料

「顔料」は色をつける役目があります。
溶剤プリンターやラテックスプリンターでも同様の着色剤が使用されています。 インクには顔料と染料があり、顔料インクは耐候性、耐水性に優れています。 染料は色鮮やかですが水に濡れるとすぐに滲むなど、インクの耐久性が劣ります。 UVインクでは顔料を利用しています。

1.顔料

「顔料」は色をつける役目があります。
溶剤プリンターやラテックスプリンターでも同様の着色剤が使用されています。 インクには顔料と染料があり、顔料インクは耐候性、耐水性に優れています。 染料は色鮮やかですが水に濡れるとすぐに滲むなど、インクの耐久性が劣ります。 UVインクでは顔料を利用しています。

2.モノマー
3.光重合開始剤

UVプリントで重要なのでは「モノマー」と「光重合開始剤」となります。
光重合開始時が特定の波長UVを吸収すると 「光重合開始剤」が反応しモノマー同士が重合=カタマリを作ることで、液体が固体になる特性があります。 一般家庭で使われている溶剤インクなどは熱による蒸発で乾燥する仕組みに比べ、 UVインクは一瞬で「硬化」しますので根本的に仕組みが異なります。 最近では原材料や光の強さ・精度・速度など、各メーカーで違いや特長も出てきました。

UVインクのために欠かせないのが「モノマー」と「光重合開始剤」ですが、 臭いの原因となるというマイナス面もあります。 硬化前の状態では臭いがあり、印刷中も臭気対策が必要になります。 十分にUV光を照射させ硬化しないとプリント自体に臭いが残ることがあるため、 臭いをどう配慮するかもプリンター・インク選びの上で重要なポイントになります。

4.その他UV材料

「その他UV材料」にはインクによって様々な成分が含まれます。
プリント後の硬度、擦過性、柔軟性、延伸性、屈曲性など、利用用途によって向き不向きが変わってきます。 例えば硬度が高ければ傷つきにくく丈夫で性能が良いというわけでもなく、 屈曲性がなくなることで曲げ試験で塗膜に割れが入るなど、製品の性能を損なう場合があります。